2024年の保険証廃止
2022年10月、政府は「2024年で保険証を廃止する」との方針を打ち出した。
併用ではなくマイナンバーカードに一本化するらしい。
まだ案の段階だけど、確定すれば全国民に影響する一大事だ。
そもそもマイナンバーはなぜ作られた?
もともと省庁・市役所・健康保険組合・年金事務所などの「社会保障」「税金」を扱う組織には共通の管理コードがなかった。
そのため別組織のデータを参照する時は、氏名と生年月日で絞るのが常套手段だった。
ただ、これだと同姓同名などの誤検出があるので、役所が目視でチェックしたり本人に書類を書かせるなど自動化には程遠かった。
そこで登場したのがマイナンバーだ。
全国民に固有番号を割り振り、2015年10月以降「マイナンバー通知カード」を発送して通知した。
これにより別組織にあるデータが確実に取得できるようになり、省庁や役所をまたいだ手続きも簡略化できるめどが立った。
(注)実際のネットワークはもっと複雑な構成。上図はあくまでイメージ
マイナンバーカードとマイナ保険証
マイナンバーは既に全国民に割り振られているが、マイナンバーカードを持つかどうかは現状任意。
マイナンバーカードがあれば身分証明書として使えるし、確定申告などの行政手続きもでき、申請すれば保険証としても使える。
各種手続きは「マイナポータル」というWebサイトで可能。
ただし2022年10月現在、マイナ保険証が使える病院は3割程度。
2024年までに地方病院やクリニック・歯科医など保険証確認を行うところ全てで対応するというのは相当困難な話だろう。
マイナ保険証の使い方
従来の保険証はカードに印字された番号を、事務員が目視で手入力していた。
これがマイナ保険証になると、外部サーバーにアクセスして資格情報をパソコンに直接ダウンロードする形になる。
ちなみに患者側の操作は、マイナンバーカードを読み取り部にかざして顔認証又はパスワード入力で本人確認すればOK。
医療事務としては、保険登録ミスや資格誤りがなくなるので一見便利だ。
しかし現場からは反対の声が多い。
医療現場の困惑
保険証廃止の影響は思いのほか大きい。
例えば、1病院につきマイナ保険証読取機が1台や2台だけだと保険証確認待ちが増えてクレームの元になるだろうし。
代理の人が薬だけ貰いに来たとか、県外受診者が保険証を持っておらず後日FAXしてもらうといった運用の代替案はどうなるかとか。
24時間稼働の病院に合わせて、読取機のエラーサポートも24時間稼働するのかといった疑問もある。
他にもインターネットの通信障害とか、カード紛失者とか、細かいオペレーションまで突き詰めれば課題は山ほど見つかるだろう。
利便性はあるが保険証廃止は勇み足か
医療費や予防接種歴も確認できるし、国民年金の減免申請もできるし、マイナンバーカードの利便性は疑いようがない。
ただ役所や病院で、情報漏洩やランサムウェア感染が何件も起きている中で「セキュリティは万全」を鵜呑みに出来ないのも事実。
サービス向上と共に対応病院を増やし、ある程度の割合になったらマイナ保険証に一本化というのが落としどころな気がする。
財源は増税なのか保険料UPなのかも含め不安に感じる国民は多いので、2024年保険証廃止はやや勇み足かなと個人的に思う。