
間違いが本流になるのが漢字
漢字には「本来の読み方ではないけど、世間に定着してしまったのでこれも間違いではない」とする慣用読みが存在する。
有名なのは「重複」だろう。
正しい読み方は「ちょうふく」だけど「じゅうふく」と読んでしまう人が増えたので、こちらも認められるようになった。
こうなると各々が別の読み方をしても、双方間違いではないので指摘できないというシュールな光景が繰り広げられるのだ。

このような漢字は他にも沢山ある。
<人によって読み方が違う漢字>
漢字 | 本来の読み方 | 別の読み方 |
---|---|---|
あり得る | ありうる | ありえる |
依存 | いそん | いぞん |
一段落 | いちだんらく | ひとだんらく |
矜持 | きょうじ | きんじ |
固執 | こしゅう | こしつ |
代替 | だいたい | だいがえ |
茶道 | ちゃどう | さどう |
貼付 | ちょうふ | てんぷ |
捏造 | でつぞう | ねつぞう |
他人事 | ひとごと | たにんごと |
漏洩 | ろうせつ | ろうえい |
私は代替(だいたい)と読むけど代替(だいがえ)と読む人がいても別に指摘しない。
さすがに捏造(でつぞう)や茶道(ちゃどう)と言われたら二度見してしまうが、本来はそちらが正解なので否定した方が無知になる。
そういえば医療事務をしていた頃、新人の子が入院患者さんに書類説明をする際「続柄」を「ぞくがら」と読んでいた。

近くにいた私は内心「つづきがらでは?」と思ったが、ひょっとしてこれも慣用読みなのかと不安になり何も言えなかった。
ちなみにGoogleで「続柄 読み方」で検索すると、最上部にでかでかと「ぞくがら【続柄】」と音声付きで表示される。
もはや何が正解なのやら。
意味の取り違えにも注意
日本語はちょっとした言葉でも、受け手の認識次第で誤解されることがある。
よく引き合いに出されるのは「役不足(やくぶそく)」だ。

この場合「彼ほどの実力者なら課長では物足りない。部長でも良いくらいだ」というポジティブな誉め言葉なんだけど。
受け手によっては「彼に課長は務まらない」というネガティブな皮肉に捉えられる。
もう1つ有名なのは「煮詰(につ)まる」だ。

これも正しい意味は「完成間近でもうすぐ結果が出る」なのだが「行き詰って難航している」と誤解される事がままある。
どちらも正反対の意味に受け取られかねないので、もし相手が怪訝な表情をしていたら別の言葉に置き換えるのが無難だろう。
他にも「物語のさわり」は冒頭ではなく要点のことだったり「姑息」は卑怯ではなくその場しのぎを意味する言葉だったり。
日本語はつくづく難しい。