医療事務をしていて思ったこと
病院の受付窓口に立っていると、すいすい受付を済ませる定期患者とは対照的に、緊張した面持ちで尋ねてくる患者がいた。
それはそうだ。医療従事者でもない限り病院に行く機会はそうそうないし、病院や病気について学校で習うこともない。
もし親と同居している間に病院に行ったことがなければ、外来と入院の違いも分からないまま社会人になっても不思議ではない。
入院患者以外(診察後帰れる人)は全て外来患者に分類される。入院患者は「宿泊+治療」なので計算ルールが外来と異なる。
という訳で、たまには病院事務としての話も書こうと思う。
今回は「病院の受け方について」だ。
普段から病院を受けている人には何の意味のない記事だが、一度も受けたことのない人もいるだろうから基本から書こうと思う。
病院の受け方
怪我、病気、健康診断で引っかかった等、受診理由は色々あるだろうが、体調が悪ければ病院を受けるのが一般的だ。
指を切ったぐらいなら絆創膏(ばんそうこう)でも良いが、深すぎると血が止まらないし、放置して化膿することもある。
処置方法を間違えて悪化させるよりは、たとえ軽症でも専門知識を持った医師に相談する方が安心だ。
それでは病院を受ける時の基本的な流れを見てみよう。
どれも常識的な事だが、それでも健康保険証を忘れてくる人は毎日何人もいたし、急な怪我や病気で気が動転している人もいた。
また、会計を済ませて領収書と処方せんを渡すと「薬は貰えないんですか?」と怪訝そうな顔をされたこともあった。
初めて病院に行く人なら処方せんの存在を知らなくても無理はない。
処方せんというのは薬の種類や数量が書かれた紙だ。必ず処方した医師の署名が入っている。
クリニックや中小病院は院外処方のところが多く、調剤薬局に処方せんを持って行って薬を買うという流れが一般的だ。
なお薬局の会計は病院とは別払い。病院の請求額はあくまで診察と処方せんを書いたお金であり、薬代や調剤料は含まれていない。
「調剤」「処方せん受付」の看板があればどこの薬局に行ってもOKだが、大抵病院の近くに調剤薬局が営業している。
ただし、法律で特定の薬局に誘導してはいけない決まりになっているので「お近くの薬局でお求めください」とぼかして言うのが通例だ。
もし面倒臭そうに「薬は目の前の〇〇薬局で買ってください」と案内されたらその病院のモラルは推して知るべしだ。
分からないことは病院に聞こう
急な怪我や病気の時、アポなしで直接病院に行く人がいるがこれはお勧めしない。
病気にはそれに対応する診療科があるので、その診療科目の医師が居ない病院に行っても受け入れてもらえず時間のロスになる。
しかし歯のことは歯科、目のことは眼科というのは誰でも分かるが、例えば「足の指先が痛い」とかは何科か判断が難しい。
そんな時は最寄りの総合病院に電話をするのが一番だ。
「足の指先が痛いんですけど」と尋ねれば「いつからですか?」「どこかにぶつけましたか?」などの質問があるだろう。
そして「痛風かも知れませんね。お電話では何とも言えないので、内科か整形外科をご受診ください」とヒントが貰えるはずだ。
餅は餅屋。生兵法は大怪我の基。電話で問い合わせるだけなら無料だし、一人で悩むより詳しい人に相談するのが確実だ。