異世界漫画(2022年)1~10位
今回は2022年に1巻発行という、かなり新しめな異世界漫画を紹介。
なお、2021年までの異世界漫画については過去記事参照。
選考基準は私の好みであり、作品の優劣を示すものではありません。
第1位「辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~」
主人公ルストは協会所属の錬金術師。
仕事では成果を出していたが、上司に嫌わて不当な評価を受けたあげく、研究予算をゼロにされて急に虚しくなる。
そんな折、学園で友人だった女性から手紙が届いた。「辺境に領地を貰ったから開拓を手伝ってくれないか」と。
丁度職場に愛想が尽きていたところだ。上司に辞表を出して、辺境の地へと向かうことにした。
[単行本] 1 – 6巻
(最新6巻は2024年8月22日発売)
感想
まず絵が上手い。どのコマも丁寧に描かれている。元居た場所では認められなかった才能が別の地で喜ばれるストーリーも良い。安易なギャグや奇をてらった表現はなく、良くも悪くも堅さはあるが、しっかりとした世界観を持つ無双系作品。
第2位「勇者パーティを追い出された器用貧乏 ~パーティ事情で付与術士をやっていた剣士、万能へと至る~」
勇者パーティの付与術士オルンは、実力不足を理由に追放されてしまう。
もともとオルンは剣士だったが、パーティに付与術士が必要だったので一番適性のある自分がその任を引き受けた。パーティの為に尽くしてきたつもりだった。
その結果が「器用貧乏」という罵声と、解雇という仕打ち。
パーティ脱退後、剣士に戻ることを決めたオルンは、勘を取り戻すため一人で迷宮に潜ることにした。
[単行本] 1 – 12巻
(最新12巻は2024年9月9日発売)
感想
色んなことができるが故に「器用貧乏」というレッテルを貼られた主人公が、勇者パーティ時代に因縁のあった大手クラン “夜天の銀兎” の協力者になるという展開。キャラ絵もすっきりしていて見やすいし、続きが気になる作品。
第3位「片田舎のおっさん、剣聖になる~ ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~」
レべリス王国の名だたる騎士や冒険者が師事していた男。
主人公ベリル、人呼んで「片田舎の剣聖」
ある日、弟子の一人で王国騎士団長を務める少女が、ベリルを迎えに来る。王国直属騎士団の指南役として。
主人公は自分をしがない中年だと評価しているので固辞したかったが、国王命令と言われては是非もなし。
こうして片田舎の剣聖は、かつての弟子が何人もいる王国首都に赴くことになった。
[単行本] 1 – 6巻
(最新6巻は2024年8月6日発売)
感想
一般的な異世界漫画だと主人公は若者のことが多いが、本作では初老男性。天然で駄目駄目なところもあるが剣を持たせると超一流。弟子の期待を裏切らない “本物” 具合が読み手をワクワクさせてくれる。
第4位「間違い召喚!追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活」
二十歳の男性サラリーマンが、ひったくりを捕まえようと追走していたら光に包まれて消失。
どうやら異世界召喚に巻き込まれたらしいが、王と従者による鑑定結果は凡人。期待した勇者ではなかった為、無能認定されて王城から追放されてしまう。
しかし主人公には「アイテムボックス」「採掘の王」「鍛冶の王」「採取の王」等の能力があった。
街で雑用仕事をこなす傍ら、鉄くずをオリハルコンに昇華させたり、切れ味鋭いオリハルコンの剣を打ったりして徐々にその能力を発揮していく。
[単行本] 1 – 3巻
(最新3巻は2024年6月17日発売)
感想
コメディ寄りのドタバタ召喚物かと思いきや中身はしっかりとした異世界ファンタジー。表紙は質素だけど作中の絵は背景含めてとても丁寧。ストーリーは奇をてらわない王道テンプレだし1巻時点では非の打ち所がない期待作。
第5位「独身貴族は異世界を謳歌する」
主人公は35歳まで独身生活を満喫していたが、心臓発作で孤独死した。
死後、彼の前に二人の神が現れる。
どうやら孤独を愛する生き方を気に入った独神(ひとりがみ)が異世界転生させてくれるとのこと。スキルとして剣術・体術・魔法適性・魔道具師としての力等を授かる。
かくして子爵家の長男ジルクとして転生した主人公は、前世の知識を活かして冷蔵庫などの魔道具を発明し、快適な独身生活を謳歌するのであった。
[単行本] 1 – 4巻
(最新4巻は2024年4月9日発売)
感想
バトル漫画ではなく、前世にあった家電(この世界では魔道具)を作り出して自分の生活を快適にしつつ富を得ていくストーリー。説明文が少なくて読みやすいし、孤独を愛する性格ということでベタなラブコメに傾倒しないのも良い。良い意味でクセのある作品。
第6位「お気楽領主の楽しい領地防衛」
日本でサラリーマンをしていた主人公は、気が付くと異世界に転生していた。
転生前は30歳だったが、転生後は2歳。メイド付きの屋敷に住む侯爵家四男ヴァンとなる。
前世の知識もあり周囲から神童と期待されたが、8歳で行われる魔術鑑定では四元素魔術ではなく生産魔術に適性ありと診断され、父親から出来損ないと断じられる。
兄の嘆願でどうにか死罪を免れた主人公は、辺境の領主を命じられ実家を追い出されることになった。そこに筆頭執事、騎士団副団長、メイドなど主人公を慕う者達も同行。
かくして8歳領主の辺境暮らしが始まった。
[単行本] 1 – 6巻
(最新6巻は2024年8月25日発売)
感想
執事や騎士団副団長・冒険者などのキャラがしっかりしていて読み応えがあり。序盤の出立や村での攻防あたりはテンプレとはいえグッとくるものがある。絵がもう少しだけすっきりしていればさらに高評価だった。
第7位「不運からの最強男」
現世では不運な人生を送った主人公。
死後、生死案内人から説明を受け、記憶と鑑定眼を持って新しい世界に転生する。貴族の赤ん坊ジークベルトとして。
転生特典や魔力もあり、希望に満ち溢れる日々だったが、母の死をきっかけに事態は一変。
月日は流れ、4歳になったジークベルトは大切な家族を守れる力を身に付けようと、レベル上げを志すようになる。
[単行本] 1 – 6巻
(最新6巻は2024年7月26日発売)
感想
転生直後の主人公は赤ん坊で、2巻終了時点でもまだ4歳。自分の大切な人達を守りたいという言動には愛らしさを覚える。彼を溺愛する父と叔父、聖獣、自我を持つヘルプ機能など、ギミックも満載なのでこの先王道で行くのか少しひねるのか可能性を感じさせる作品。
第8位「唯一無二の最強テイマー~国の全てのギルドで門前払いされたから、他国に行ってスローライフします~」
主人公はとても希少な幻獣種テイマー。
しかしテイムした幻獣種は主人公以外には見えず、冒険者ギルドでも仕事はおろか登録すらできない状態。
この国では「無能テイマー」という噂話が知れ渡ってしまったため、遠く離れた国に移住することを決意。
新天地に辿り着いた主人公はようやくテイマーとして認定され、心機一転、活動を開始するのであった。
[単行本] 1 – 3巻
(最新3巻は2023年12月25日発売)
感想
異世界テイマー漫画はそれなりにあるけど、人の目に見えない幻獣種を使役するというのはあまりない設定。1話目の主人公の旅立ちに合わせて国中の幻獣種が一斉に出ていくシーンはちょっと面白かった。
第9位「未実装のラスボス達が仲間になりました。」
フルダイブ技術と、人工知能「mother AI」の管理が話題となったVRMMORPG「eternity」
100名のβテストには応募者が殺到し、動画サイトにはプレイ動画が投稿され、さらに多くの人の関心を集めた。
メーカーはそんな大人気ゲームを、VR機器込みで10万人に無料配布。運よく当選したプレイヤーたちは冒険を楽しんでいたが、ある日motherから手紙が届き「ログアウト不可」「痛覚設定」「蘇生不可」が宣告される。
プレイヤー達が混乱する中、主人公のダンジョン生成スキルがなぜか6人の悪魔(未実装のラスボス達)を閉じ込めていた城を制圧。彼らの王となった主人公は、スキルを使ってモンスターを生み出すなどダンジョンの強化に乗り出すのであった。
[単行本] 1 – 4巻
(最新4巻は2024年1月26日発売)
感想
率直に言うと1巻は「ソードアート・オンライン」「オーバーロード」「HUNTER×HUNTER(グリードアイランド編)」のオマージュ。ただ2巻以降はオリジナル要素もあるし絵も悪くないので普通に読める。ラスボスの主だけど悪人ではない修太郎と、正義感の強い紋章ギルドのワタルという配置には可能性を感じる。地力はあるけど色々惜しい作品。
第10位「Magica Technica~現代最強剣士が征くVRMMO戦刀録~」
現代最強・久遠神通流(くどうじんつうりゅう)の跡取りとして生まれた久遠総一。
祖父の厳十郎に挑み続けること約20年、ついにその壁を乗り越えて新当主に指名される。
最強だった祖父を倒したことで目標を失い退屈していた総一だったが、弟子の明日香からVRMMORPG「マギカテクニカ」というゲームを紹介される。
強い相手がいるなら何でも良い。こうしてスキルに頼らない総一の、ファンタジー世界挑戦が始まった。
[単行本] 1 – 4巻 <完結>
(最新4巻は2024年3月12日発売)
感想
異世界転生ではなく「ソードアート・オンライン」のようなVRMMORPGモノ。1巻はとても面白くて期待値MAXだったけど2巻では絵とストーリーがややパワーダウンしているので、ここからの巻き返しに期待したい。(→ 2024年3月発売の4巻で打ち切り気味に終了)
知名度は低くても良作はある
これだけ異世界漫画が出回るとどうしても玉石混交になり、面白い作品とそうでない作品が混在しているのが現状。
しかし、面白い作品はいずれ頭角を現しアニメ化等で一気にブレイクするのが世の常。
今回選んだ作品はどれもその可能性があるので、数年後の結果を楽しみにしたいと思う。