救急搬送について
私自身は救急車を呼んだことはないが、病院事務をしていたので、救急搬送のことは何となく分かる。
そこで今回は、一度も救急車を呼んだことがない無い人に向けて、私の浅い知識を伝えたいと思う。
まず基本中の基本として、救急車を呼ぶには「119」に電話をかける。
通常、119に電話すると最寄りの消防署に繋がる。
消防署には消防車だけではなく、救急車も並んでおり、要請があればすぐに出動できる。
ただし小さな消防署だと救急車が1~2台しかないので、もし出払っていたら別の消防署から来るのを待つことになる。
さて、ここでは最寄りの消防署に救急車があったとしよう。
救急車は緊急走行して、赤信号でも進むが、さすがに安全を無視した速度は出せない。
仮に平均時速を60kmとすると、1分につき1km、消防署から患者宅まで15kmあるとしたら15分かかる計算になる。
実際はもっとゆっくりだろうし、自宅から消防署まで遠ければさらに時間がかかる。
救急車が到着しても、すぐに患者を乗せて出発する訳ではない。
症状やかかりつけの有無などを確認し、候補の病院と受け入れ交渉をするのだ。
かかりつけの病院があれば診てもらいやすいが、無ければ距離や診療科を考慮し、片っ端から電話することになる。
ちなみに私の居た病院では、救急隊からの電話はまず事務員が出て、要点をまとめた上で医師の判断を仰ぐ運用だった。
例えばこんな感じにメモを取って、医師の内線をコールする。
受け入れるかどうかは、その時の救急担当医が判断する。
なお診療科はあくまで目安であり、精神科でも火傷を診る医師は居たし、循環器科だけど胸痛を断る医師もいた。
事務レベルでは、広く診てくれる医師の方が有難いのは言うまでもない。
医師の確認が取れればその旨を救急隊に伝え、看護師の手配等を行う。
患者は当然救急車に乗るが、家族は同乗することもあるし、自家用車で来ることもある。
行きは救急車でも、病院に引き渡せば救急車は撤収するので、帰宅手段は必要だ。
症状が重ければそのまま入院になることもあるので、戸締りはしっかりして出掛けよう。
できれば119してから出発までに、現金や保険証・定期薬・お薬手帳などを用意し、スマホも充電しておこう。
自宅から搬送先病院までの距離によっては、移動時間もそれなりにかかるので、トイレも忘れずに。
このケースでは119に電話をして1時間後にようやく病院に到着。
もしギリギリまで我慢して「もう駄目だ!」と119したのなら、そこから1時間以上痛みに耐えないといけない。
救急車を呼ぶなら、消防署や病院までの距離もある程度計算して、かけるタイミングを見極めよう。
かかりつけ医の重要性
私の居た病院では、特定曜日の小児科は人数制限でよくお断りしていた。
自分の不調なら我慢できるが、小さい子供が苦しむ姿は、親にとって辛いものだろう。
とはいえ無制限に受け入れていたら診療がパンクするので、病院側もやむにやまれずだ。
ただその時の小児科医はやさしい人で、特にかかりつけ患者には真摯に接していた。
たとえ休診日でも、自分の患者から問い合わせがあれば、私用の携帯に連絡してくれという人だった。
なので人数超過で受付できなかった患者にも、電話で問い合わせがあれば、できるだけ相談には乗っていた。
主治医やかかりつけ医は、重い病気でなくても持てるものだ。
例えば小児なら、鼻炎や便秘・皮膚炎などで定期診察を受けていれば立派なかかりつけだ。
総合病院をかかりつけにしていれば、救急隊からの要請を無下に断れないという、抑止効果を発揮することもある。
健康管理に加え、予防接種を打つかどうかといった相談もできるし、医療の良きアドバイザーは居るに越したことはない。