
後期高齢者の高額療養費
近所のおじいさんからこんな相談を受けた。

3か月に1度定期診察があるが、2024年7月はそれに加えて歯科医院や内科(コロナ疑いの風邪)にもかかり沢山受診した。

するとその数か月後役所から「月額上限を超えたので返金します。振込先口座を教えてください」のような案内が届いた。

同封の申請書に口座等を書いて郵送。
3200円支給されて得した気分。

そうこうしていると年末になり「医療費のお知らせ」が届いた。
確定申告の控除に使えるアレだ。

ふと気になり2024年7月分を確認。
2割負担で合計12400円だった。

あれ? おかしくないか?
後期高齢者2割は月額上限18000円なので、12400円では高額療養費に該当しないはず。

どこかの病院が不正請求(水増し請求)したんじゃないかと疑心暗鬼になったらしい。
これが私に相談を持ち掛けた経緯だ。

2割負担の特例措置
結論から言うと不正でも計算ミスでもない。
もともと後期高齢者の自己負担は「1割」又は「3割」だったが2022年10月1日からその中間の「2割」が新設された。
しかし1割だった人にいきなり倍払えというのも酷なので特例措置期間が設けられた。

具体的には2割で計算した結果、1割負担時との差額が3000円を超えた分については高額療養費として支給(返金)する措置。
これにより負担増は最大3000円まで。

今回のおじいさんの場合、2024年7月分の総医療費は62000円だった。
1割負担だと6200円。2割負担だと12400円。
差額6200円から3000円を引いた3200円が高額療養費として支給されたという話だ。

特例措置の説明については厚生労働省のHPにも載っているし、高額療養費のお知らせのハガキにも記載されている。
<厚生労働省のHP>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21060.html
疑惑が晴れておじいさんはすっきり。
けんか腰で怒鳴り込まなくて良かった。

特例措置廃止後の負担増
現状、特例措置のおかげで後期高齢者2割の人は月額上限12000円で済んでいる。
もし延長されたら現状維持。
予定通り廃止されたら月額上限18000円。

今国会では高額療養費の引き上げが議論されており、後期高齢者2割の人は月額上限が28000円になる案も浮上している。
どういう決着になるかは要注目だ。