突然の腹痛
2023年某日、かつてない腹痛に襲われる。
その日はどうにかやり過ごしたけど、それからも時折下腹部が痛む。
かれこれ1か月も続いたので、最寄りの総合病院に電話して予約なしで消化器内科を受けさせてもらうことにした。
来院するとまず玄関で検温。
幸い発熱はなかったので無事中に入れた。
初めて行く病院なので健康保険証を提示し、診察券を作ってもらい、今日の症状を問診票に記入して係の人に提出する。
予約患者優先なのでドアの前で待機。
30分ぐらいで呼ばれた。
医師から「嘔吐ある?」「血便は?」「排便は週何回ぐらい?」等々聞かれ、お腹に聴診器をあてたり触診をしたり。
「音は正常だけどはっきりしたことは検査しないと分からない。便潜血とか、内視鏡とか……ああ大腸カメラのことね」と説明。
大腸カメラは心の準備ができていなかったのでレントゲンをお願いすると、「じゃあ撮ってみようか」とあっさり了承。
一旦診察室を出てレントゲン室へ。
撮影を終えて再び診察室に戻る。
腹部の小さな隙間(空気)を指さし「便秘の兆候はあるから、とりあえず下剤で様子見ようか」という提案になる。
「刺激して無理やり出す薬と、便を柔らかくする薬があるけど前者は続けると便秘が酷くなる。なので後者を出します」
専門家がそう言うならそうなんだろう。
医師にお礼を言って退室。
診療費は3割負担で2000円ぐらいだった。
処方せんを持って隣の薬局へ。
「酸化マグネシウム」1か月分で約1000円。
朝昼晩の3食後、1錠ずつ服用する錠剤だ。
便に水分を与えて(柔らかくして)排便を促す作用があるらしく「本当に効くのか?」と思ったが翌日から効果てきめんだった。
便秘のようなよくある症状でも、医師への相談は大切だなと思った。
検査を決意
便通は改善したけど腹痛は治らず。
いよいよ覚悟を決めて再診。
「やっぱり検査を受けたくて」と切り出すと「分かりました。では内視鏡のオーダーを出すので希望日を予約して帰って下さい」と。
この日は追加処方なし。
会計前に予約コーナーへ立ち寄る。
最短でも空きは3週間後と言われ、内心では「ずいぶん先だな……」と思ったけど口には出さず一番早い所で予約してもらった。
その後看護師から、検査前後の食事や下剤服用について説明を受ける。
支払いは下剤代込みで3割負担1000円ぐらいだった。
検査日までの苦悩
再診の日あたりから下痢・腹痛が悪化する。
酸化マグネシウムが効きすぎ? それとも便秘以外の病気が進行している?
波はあるが、酷い時だと数時間お腹を抱えてうずくまることもあり、3週間どころか3日も保たないのではと弱気になる。
居ても立ってもいられず病院に電話。
「大腸カメラの予約キャンセルとか出ていませんか? 痛みが強いので3週間も先だと重症化しそうで……」と心情を吐露。
受付の方は「少々お待ちください」と5分ほど離れ「お待たせしました。それでは来週でいかがですか?」と調整してくれた。
それでも1週間は耐えないといけないが、2週間も縮めてくれたこの方には感謝しかないので、丁寧にお礼を言って変更をお願いした。
そこからは綱渡りの1週間。
ご飯どころか、水を飲むだけでお腹が痛むようになり「ああ、これはもう……」と重い病気を連想するようになる。
検査3日前の夜20時頃、痛みがピークに達し「盲腸だったら」「腹膜炎だったら」という疑心暗鬼から救急病院を受診。
時間外料金は承知の上でCTをお願いする。
ベッドに寝転び手をクロスして頭上にやり「息を吸って止めて!」の動作を2回ほど繰り返す。5分もかからず撮影終了。
医師の見立ては「胃が少し膨らんでいますが概ね正常です。虫垂炎も腹膜炎もありません。」という予想外のものだった。
受診費用は3割負担で8000円程度。
腹痛が消えた訳ではないけど「緊急性はない」というお墨付きをもらえた効果は大きく、精神的にかなり楽になった。
その後は胃薬や整腸剤を服用しつつ、かなりマシな状態で過ごすことができた。
大腸カメラ前日
検査前日。
夕食は「消化の良いものリスト」に載っていた白米と素うどんだけで済ます。
寝る前に前日用の下剤を服用。
若干嘔気はあるが便意はなく眠りにつく。
大腸カメラ当日
当日は朝から絶食。
「経口腸管洗浄剤(モビプレップ)」は作り方がやや特殊だけど、YouTubeの解説動画を見れば戸惑うことはない。
完成すると人工的な梅味で、紙コップでちびちび飲んではトイレに入るを数十分繰り返すのだが、後半が特に苦痛だった。
午後、予約時間に来院。
診療行為同意書に誰か(家族など)のサインを貰っておくことと、鎮静剤を希望するなら車を運転できない事は忘れずに。
受付を終えると更衣室に案内され、病院の検査着(浴衣のように長いガウンと、おしりの部分に穴があいた短パン)に着替える。
検査室に入ると看護師から問診があり、その後鎮静剤の静脈注射があった。
針の痛さは健康診断の採血ぐらいで苦ではないけど、点滴のようにそのまま留置するのでチクチクとした刺激はあった。
ベッドで横向きに寝ながら看護師の「じゃあ、鎮静剤を入れていきますね」の声あたりから段々意識が薄れていく。
ぼんやりと痛いなぁと思っていたら「お疲れさまでした」と言われ「え、終わり?先生いつきたの?」という感じだった。
冗談抜きで内視鏡(胃や大腸を観察するためのカメラ装置)をお尻に入れられた記憶が全くない。
その後点滴の針は残したまま別室で10分ぐらい休憩になる。
詳しい結果は翌週以降、診察室で画像等を見ながら説明するとのことだが大きな異常は見当たらなかったらしく一安心。
生検(採取した組織を病理検査に回す)あり、ポリープ切除なしということで3割負担で約10000円の支払いだった。
こうして、人生初となる大腸カメラ検査は無事に終了した。
振り返ってみて思うこと
一連の経験で感じたのは「診察は目的を持って受けることが大事」ということ。
例えばお腹の痛みが「盲腸(虫垂炎)」かどうか心配で受けるのなら、医師にはその答えがもらえるような質問をすべきだ。
漠然と「腹痛」で受診し、医師の経過観察(次回予約なし)に従うだけでは不安は解消されないしストレスはつのるばかり。
患者として「どうして欲しい」「何が怖い」という気持ちを伝える事は、症状を伝えるのと同じぐらい大切なことだ。
特に緊急性が不安で受診していて、医師の態度に温度差を感じた時は「病名は何ですか?」と相手の考えを問いただそう。
その答えが自分の想像よりずっと軽いものなら「盲腸のような緊急性のある病気ではないんですよね?」と念押しすると良い。
そこが不安で診察に来たのなら、そこははっきりさせないと。
漫画で知る健康の大切さ
普通に生活していると周囲は健康な人だらけだが、病気に苦しむ人は沢山いて、不老不死でない限り自分もそうなる可能性は高い。
そのような現実を直視するきっかけの一つとして医療系漫画がある。
中でも私が好きなのは「フラジャイル 病理医岸京一郎の所見」
ドラマにもなった「ラジエーションハウス」
闘病記だと「末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる」とかが読みやすくて為になると思う。
これらの漫画を読んでいなければ「自分は健康だし、まだ40代だから」と大腸カメラを受ける事はなかったかも知れない。
結果的には異常なしだったが、それが分かったのは大腸カメラを受けたおかげであり、契機となった漫画には感謝している。
医療を抜きにしても絵やストーリーが秀逸なので、興味があれば是非どうぞ。