ファイルの削除と復元
パソコン・スマホ・デジカメなどのデジタル機器は、HDDやSDカード・USBメモリといった記憶媒体にデータを保存する。
データの書き込みもあれば削除もある。
しかしパソコンを筆頭に、削除操作を行ってもファイルの「管理情報」を消すだけで「実データ」は消えないという機器は多い。
「書き込みに10分以上かかったファイルが、削除は数秒で終わった」というような場合はほぼ間違いなく実データが残っている。
ここで1つ実験をしてみよう。
新品の外付けHDDを接続し、その中に適当なテキストファイルを保存する。
名前はテスト.txtとしよう。
次に、今作ったテスト.txtを削除。
外付けHDDのファイルなのでごみ箱に入ることはないと思うが、もし入っていたら「ごみ箱を空にする」で消去しておく。
これで準備完了。
外付けHDDを外して、別のパソコンに接続。
当然、中身は空っぽな訳だが。
ここでファイル復元ソフトの出番。
私が持っているのは数年前に買った「ファイナルデータ 10 特別復元版」だが、今ならバージョン11が出ている。
その「ファイナルデータ」で外付けHDDの中を検索。
検索の結果、ファイルが見つかったので出力先をデスクトップにしてOKを押す。
見事、消したはずのファイルが復元できた。
中身もしっかり確認できる。
もし「実データ」の領域が別データで上書きされていれば復元できないが、今回のように削除直後であればほぼ100%復元できる。
本来は間違って消したファイルを復活させる為の「復元ソフト」だが、悪意ある人が使えば情報を読み取ることも可能なのだ。
パソコン廃棄時の話だけではない
以前タレントが「道を歩いていたら勝手に撮影されたので、注意してその場でデータを消させた」という話をしていたが。
上の説明を理解できていれば、対処として甘いことに気付くはずだ。
撮影者がカメラのSDカードを自宅のパソコンに挿して、「ファイル復元ソフト」を実行すれば簡単に復元できてしまう。
職場でよくあるUSBメモリの貸し借りもそう。
パソコン間のファイル移動を行い、使用後は空っぽにして返却しても、移動の際に書き込んだファイルデータは復元できる。
あくまで可能性の話だが、世の中善人だけとは限らない。
紙の原稿なら「シュレッダーした方が良いかも」と危機感を持つ人でも、データとなると途端に管理が甘くなりがちだ。
常に神経をとがらせる必要はないが、大事なデータを扱う時は「削除では消えない」という事を頭の片隅に置いておこう。