某職場での出来事
ある日、新人2人が昼からの会議当番に任命された。
パソコンが得意なA子さんはWordで資料作りを担当し、体育会系のB太君は会議室のセッティングや備品集めに奔走。
役割分担してテキパキ準備を進める。
作業を終えたB太君は先に昼休憩へ。
A子さんは会議資料の最終調整にそのまま勤しむ。
ちょうど資料が完成したタイミングでB太君が帰社。
A子さんはB太君に「あとは印刷だけだから、両面で10部印刷してホッチキス留めまでお願いね」と頼んで休憩に出かけた。
A子さんは休憩の間も、会議進行のシミュレーションに余念がない。
この会議は新人にとって大きなチャンスなのだ。
休憩から戻ったA子さんは、B太君が印刷した資料の中身を見て愕然となる。
なんと会議資料が上下あべこべに綴じられているではないか。
今から印刷をやり直す時間はない。
やむを得ずそのまま会議室に持参。
「新人だからしょうがない」「次は気をつけろよ」と笑って許されたが、もうB太君は信用しないと心に誓うA子さんであった。
失敗の原因
B太君の失敗の原因は、学生時代に両面印刷を経験しなかった事だ。
ちょうど昼休みでA子さん達が出払って、事務所に残っていたのがパソコンの苦手な管理職だけだったというのも不運だった。
しかし少し注意すれば防げたミスだ。
Wordでファイルから印刷を選び「片面印刷」の部分を押すと、
両面印刷が選べる。
両面印刷には「両面印刷 – 長辺綴じ」「両面印刷 – 短辺綴じ」の2つの選択肢が存在するが、どちらを選んでも両面に印刷される。
B太君は深く考えず「短辺」を選び、両面に印刷が走っている様子を見て「問題ないな」と楽観視してしまった。
こういう時、慎重な人はまず1部だけ印刷して確認するだろう。
エイヤー(社会人がよく使う表現。「勢い任せ」の意味)で10部印刷したのは失敗だった。
長辺綴じと短辺綴じの違い
「長辺」は長い方の辺、「短辺」は短い方の辺という意味だ。
「綴じ」はホッチキス等で固定すること。
用紙の向きが「縦」なら垂直方向が長辺、用紙の向きが「横」ならで水平方向が長辺。
すなわち「長辺綴じ」はこうなる。
見開きにした時、文字の向きが同一方向になるのがポイント。
一方「短辺綴じ」だとこうなる。
こちらも見開きで方向がそろっている。
今回B太君は「両面 – 長辺綴じ」を選ぶべき所で「両面 – 短辺綴じ」を選んでしまったが、そうするとどうなるだろう?
「短辺綴じ」にすると見開きで見た時(表紙をぺらっとめくった時)裏に印刷されているタイトルが上に来るはずだ。
つまり表面のタイトルとは逆方向に印刷されることになる。
これを「長辺」で綴じると見開きでちぐはぐになる訳だ。
理解できれば簡単な話。
両面印刷時は注意を
中小企業では経費削減のため、印刷枚数が多い時は「両面印刷」にする事が多々ある。
会議資料に限らず、プレゼン資料なんかも両面印刷は珍しくない。
「長辺綴じ」「短辺綴じ」を間違っても折りたたんで読む分には全く影響はない。
身内なら軽く流してもらえるだろう。
しかし客先ではそうもいかない。
パソコンからの印刷であれ、コピー機でのコピー(片面2枚 → 両面1枚)であれ「長辺綴じ」「短辺綴じ」の指定は必須事項だ。
もしまだ両面印刷をしたことがない人はこの機会に理解しておこう。